工夫すると化ける思いがけない伏兵
さてこのチーズ、新札幌さんのラインナップでも「つまり、どう言う事にだってばよ…!?」と考え・ハードな乾物好き以外ではイマイチ手に取る方が少ないのでは無かろうか?
特にこの高齢化社会のご時世、『硬い』と言うだけで敬遠されがちなのが日本の食品事情ではあろう。
だが待って欲しい、それだけの理由でこの商品をスルーするのだけは待って欲しい。
この乾物、実は食べ方が分かれば相当数の人が美味しく召し上がれるのである。
その方法は簡単、『耐熱クッキングシートやアルミホイルに乗せてオーブントースターで数分焼く』…コレだけである。
この発想に到ったのには、キチンとした理由がある。
このチーズ、製法としては『モッツァレラを引き延ばしてストリングチーズにしてから刻んで乾燥熟成させたもの』とある。
つまり、世間一般で分かり易い認識で言うと『干した裂けるチーズ』なのだ。
コレだけだと何ら特別感は無いだろうが、チーズ好きなら幾人かはピンと来たのでは無いだろうか?
『モッツァレラを引き延ばしてから干す』…そう、イタリア発祥の『カチョカバロ』と極めて近いコンセプトのチーズなのである。
そしてカチョカバロには、他のチーズと同様の使い方の他にフレッシュタイプの乾燥チーズならではの調理法がある。
即ち、『厚切りにしてステーキとして食う』と言うモノだ。
ならば、このチーズでもイケるのでは無いか…!?
果たして、実験は大成功であった。
裂けるチーズの皮そのものの様なプチプチと歯応えの面白い表面・焼いた事による香ばしさ・モギュモギュと適度に引き締まった繊維・口一杯に拡がる牛乳の豊かな風味・そしてこれ等を包みながら、入れ歯をした両親でも噛み切れる絶妙な柔らかさ。
…コレが、数分焼くだけで手に入る。
諸君、コレは硬い色物チーズではない…可能性を秘めた、新たな地平である。
実際、乾燥の分だけ他のチーズと比べて融溶率が低いので市販のピザやグラタンにトッピングしても新たな扉が拓かれる事請け合いである。
そして何より味は新札幌乳業さんのモッツァレラ、外れであろう筈が無い。
是非、試してみて欲しい。